債務整理
借金問題の原因は、ギャンブルなどの「目に見える原因」よりも、なんとなく増えていったという「目に見えない原因」が多くを占めます。
勤務先の会社が業績不振で収入が減るなか、子どもの進学でお金が必要になった。消費者ローンに手を出す。最初は少額だったけど、生活家電などが必要になり借入額が徐々に増えていく。気がつけば返済できない額にまで膨らみ、別の消費者ローンから借りて返済していった…生活費を補うため軽い気持ちで借りたのに、気がつけば多重債務になっていたというケースも少なくありません。
人には話しにくいこともあるかと思いますが、一刻も早く借金の苦痛からのがれ前進できるようサポートいたします。
債務整理にはいくつか方法がありますが、主に任意整理、自己破産、個人再生の3つの種類が利用されます。
任意整理
任意整理とは、弁護士などが銀行や信販会社、消費者金融業者等の各債権者と、借金の返済額や分割での返済ならば返済回数、支払い方法、利息の(一部)カットなどについての交渉をして、和解契約を結び、以後はその合意内容に従って支払いをしていく手続きのことです。裁判所を通した手続きである自己破産や個人再生とは異なり、裁判所を利用しない手続きです。
平成23年以前から利息制限法で定められた上限を超えた利率(いわゆるグレーゾーン金利)でお金を借りていた場合には、上限利率による引き直し計算をします。
そもそも引き直し計算が必要なかったり、引き直し計算によっても借金が残る場合、残金について債権者との交渉・和解契約をすることになります。
引き直し計算をした結果、利息を払いすぎて債務が消滅し過払金が発生していたような場合、過払金の返還を請求します。
任意整理のメリット・デメリット
メリット
- 裁判所が関与しないため、必要書類を集めたり、依頼者が裁判所へ出頭するといった面倒がなく、また官報へ掲載されることもありません。
- 複数の債権者に対する借金のうち一部のみを任意整理の対象とすることも可能であって、費用を安く押さえることや、保証人が付いている借金を任意整理の対象から外して保証人への請求を避けることができます。
- 住宅ローンをそのまま支払い続けて住宅を残すことができます。
- 過払金がある場合、回収した過払金を残っている借金の返済に充てるなどして、財産や収入が余り無い場合でも、任意整理で借金がすべて片づき、さらに過払金が戻ってくることがあります。
デメリット
- 破産と違って借金の返済が免除されないため、借金が多かったり、収入が不安定な場合、3~5年の間毎月返済するのが困難なことがあります。
- 業者との和解交渉が条件面で折り合えずなかなか合意に至らないまま時間が経過したときなどに、業者から訴訟を起こされ、給与等の差押えに至るおそれがあります。
- 一定期間(5~7年)信用情報機関に登録され、あらたに借金をすることが出来なくなります(ただし、むしろ、このことを望む人も多く、必ずしもデメリットとはいえません)
自己破産
自己破産とは、借金の返済が困難になった人が、裁判所に申し立てて、借金の総額、財産や収入・支出の状態を明らかにして、最終的に借金の支払いを免除(免責といいます)してもらう手続きです。
自己破産のメリット・デメリット
メリット
- 免責の決定が出ると、滞納している税金などを除いた借金は、法律上返済する必要がなくなります。
- 生活必需品や古い車などは処分せず、そのまま持っていることができます。
- 給料を差し押さえられている場合、差押えを停止することができます。
デメリット
- 住宅を持っている場合、手放さなければならないことがあります。
- 主にギャンブルによる借金など、免責を認められない場合があります。
ただし、免責に至らない割合は3~4%程度です。 - すべての借金が対象となるため、保証人がいる場合に保証人に請求がいくなど迷惑をかけることがあります(保証人も一緒に破産できれば、問題はありません。)
- 資格制限があります(保険の勧誘員など)。
- 官報に掲載されます(一般の方は目にしないと思います)。
- 一定期間(5~10年)信用情報機関に登録され、あらたに借金をすることができなくなります(ただし、むしろ、このことを望む人も多く、必ずしもデメリットとはいえません)。
個人再生
個人再生とは、借金を全額返済するのは難しい人が、債権者に対する返済金額を減らしてもらい、減少した金額を一定期間(3年間または5年間)で分割して支払うという再生計画を裁判所に認められると、再生計画通りの返済をするだけで、残りは支払わなくてよくなるという手続きです。
個人再生には、小規模個人再生手続と給与所得者等再生手続の2種類があります。
小規模個人再生は、将来にわたって継続的に収入を得る見込があって、住宅ローンを除いた借金などの総額が5,000万円以下の者が申し立てることができ、返済額は、総債務額の一定割合である最低弁済額、または破産した場合に財産を換価処分して得られる額(清算価値)のいずれか高い方です。
具体例をあげると、総債務額が500万円だと最低弁済額は100万円、総債務額が3000万円だと最低弁済額は300万円となります。
ただし、小規模個人再生は、債権者の過半数(額又は人数)が異議を出した場合、手続きを利用できなくなります。
その場合、債権者の同意が要件にならない、給与所得者等再生を利用することがあります。この手続きは収入が特に安定しているサラリーマンなどを対象とするもので、返済額が、最低弁済額と清算価値の他に可処分所得の2年分のいずれか高い方となります。
個人再生手続では、住宅ローンを支払って住んでいる家を残したい人は、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することができます。住宅ローンの返済総額は減額できないものの、返済方法を変更することも可能です。
個人再生のメリット・デメリット
メリット
- 大幅に債務が減額されるので、返済が楽になります。
- 住宅ローンを払い続けること、すなわち、住宅を残すことができます。
- ギャンブルによる借金でも再生手続きをとることができます。
- 給料を差し押さえられている場合、差押えを停止することができます。
- 破産における保険勧誘員などのような資格制限がありません。
デメリット
- すべての借金が対象となるため、保証人がいる場合に保証人に請求がいくなど迷惑をかけることがあります。
- 借金の大部分が免除されるとはいえ原則3年間の返済を続ける必要があるため、それができなくなると手続きが無駄になるおそれがあります。
- 小規模個人再生の場合、債権者の不同意によって、手続きが頓挫することがあります。それを避けるため給与取得者再生を選ぶとしても、収入が多い人の場合、可処分所得が高額になり、返済総額が思った以上に多くなることがあります。
- 一定期間(5~10年)信用情報機関に登録され、あらたに借金をすることができなくなります(ただし、むしろ、このことを望む人も多く、必ずしもデメリットとはいえません)。