一票の格差が問題になった昨年12月の衆院選について,最高裁が違憲状態と判断しました。
一票の格差が最大2.43倍となっていた昨年12月の衆院選について,選挙区によって投票価値が異なるのは憲法に違反すると選挙無効を求めた訴訟の上告審判決で,平成25年11月20日,最高裁大法廷は,違憲状態と判断し,選挙の無効を求める請求は退けました。
違憲状態とは,区割りなどを定めた選挙規定によって,「一票の格差」が生じ,それが憲法の定める投票価値の平等に反する状態となっていることを言います。判例では,違憲状態が続いて,是正するのに必要な「合理的な期間」を過ぎると違憲となるとされています。ですから「違憲状態」とは,合憲という判断に含まれます。
高裁の判決では,16件中14件が選挙は違憲だったと判断し,そのうちの2件では選挙を無効とする判決が出されていました。多くの高裁判決では,選挙の時に新たな区割りが成立していなかったことを強く批判しましたが,最高裁は,平成24年の衆院解散直前に,「1人別枠方式」の条文を削除して「0増5減」の緊急是正法が成立していること,更に本来の衆院の任期末である平成25年8月までに「0増5減」に基づく新たな区割りを定めた法律が成立したことを評価し,違憲とまでは判断しませんでした。
しかし,抜本的な選挙制度の是正はいまだに行われておらず,結果的に最高裁が国会の違憲行為を追認したとの評価をする意見もあります。