民法の相続の規定が憲法に違反するという初めての最高裁の判断が示されました。
遺産相続の際,非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の半分と定める民法900条4号但書の規定について,平成25年9月4日,最高裁判所大法廷は,法の下の平等を定めた憲法に違反するという初めての判断を示しました。他方で,既になされた解決済みの事案に対しては,違憲判断の効果は及ばないとしました。
最高裁による法律の違憲判断は9例目となります。
今回争われた非嫡出子の相続分についての民法の規定については何回も裁判で争われており,平成7年7月5日に最高裁大法廷は,法律婚を尊重すると共に,非嫡出子にも法定相続分を認めてこれを保護しようとするものであり,著しく不合理とは言えないとして合憲の判断をしていました。
しかし,この平成7年の決定の時にも,15人いる裁判官のうち5人の裁判官がそれに反対する意見を述べており,それ以降,5回最高裁小法廷で同じように非嫡出子の相続規定について争われた事件について合憲判断を下すときにも,すべて反対意見や立法による補足意見がつけられていて,裁判官の間でも判断が分かれている状況でした。
今回の決定の中で,「規定の存在自体が非嫡出子への差別意識を生じさせかねない」と厳しく指摘されたこの民法の規定は,早急に改正されるべきと思われます。
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