日本国憲法と立憲主義について
1947年5月3日に日本国憲法が施行されたことを記念し、国の成長を期する日として憲法記念日が定められました。
近時,憲法改正論議もマスコミ等で盛んに報道されるようになっていますが,日々の生活の中で憲法を身近に感じることはあまりないと思われる方が多いのではないでしょうか。
そもそも憲法は誰のため,何のために存在しているのでしょうか。
憲法は国家の統治をどうするかについての基本を定めた法ですが,日本国憲法は立憲主義の理念を基盤として成立しています。
立憲主義とは,元来国家権力の濫用を防ぎ,人権を守るために憲法を制定するという考え方を言います。つまり,立憲主義に基づく憲法とは国家が国民の人権を不当に制限することのないように,国民が国家に守らせる法なのです。
そして日本国憲法の根本にある立憲主義は,人間社会における価値の根源は個人にあることから,何よりも個人を尊重するという原理を中核として,その擁護のために国家権力を法で拘束するという法の支配の原理により実現されています。
つまり,あくまでも個人の自由に任せるべき事柄については憲法で基本的人権として保障し,そこへの国家による不当な干渉を禁止するのが憲法の役割と言えるのです。
現在もなお,男女差別をはじめとした少数者に対する様々な差別や基本的人権を侵害するような事件が起こっています。
時代の変化を踏まえた憲法改正の論議は確かに自由に行われるべきではありますが,憲法の中核である立憲主義の理念を堅持し,憲法の基本原理が損なわれることがあってはならないのではないかと思います。