慰謝料
慰謝料とは,相手の不法行為によって受けた精神的苦痛を慰謝するための損害賠償金のことです(民法709条,710条)。
慰謝料の請求が認められるためには,相手の行為が違法であることが必要です。例えば,離婚の原因が相手の浮気や暴力だったような場合は典型的な違法行為と言えるので,慰謝料が認められる可能性が高いと言えます。他方,相手の行為が違法とまでは言えない場合には,いくら精神的苦痛を感じていたとしても慰謝料の請求は難しいと言えます。
慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償金ですので,その金額がいくらになるかを客観的に算定することは困難ですし,法律によって算定基準が決まっているわけではありません。
ですから,精神的苦痛が大きいと主張していくらでも慰謝料を請求できるとも言えますが,その請求額全てが支払われるわけではありません。争いになれば,結局裁判所に訴えを提起して,裁判所が同じような事件と比較するなどして慰謝料として実際に支払うべき額を決定することになります。
そして,慰謝料を算定するにあたっては,相手の違法行為における責任の程度,受けた精神的苦痛の程度,相手の社会的地位や支払能力,請求者の責任の有無や程度など様々な要因を考慮した上で具体的な金額が決定されることになります。