債務不履行
債務不履行とは,正当な事由がないにもかかわらず,債務者が債務の本旨に従った給付をしないことを言います。
債務不履行には、その態様によって、履行遅滞,履行不能,不完全履行の3種類に分かれます。
1.履行遅滞
⑴意義
履行が可能であるのにもかかわらず履行期を徒過しても履行
しないこと。
⑵要件
① 履行が可能なこと
② 履行期を徒過したこと
③ 債務者の責めに帰すべき事由に基づくこと
④ 履行しないことが違法であること
2.履行不能
⑴意義
債権成立後に、債務者の責めに帰すべき事由によって債務の
履行が出来なくなること
⑵要件
① 債権成立後に履行が不可能になったこと(後発的不能)。
② 債務者の責めに帰すべき事由に基づくこと。
③ 履行不能が違法であること。
3.不完全履行
⑴意義
債務の履行がなされたが,それが債務の本旨に従った完全な履行
ではなく、不完全だった場合。
⑵要件
① 履行があったこと。
② 給付が不完全なこと。
③ 債務者の責めに帰すべき事由に基づくこと。
④ 不完全履行が違法であること。
いずれの場合でも,債権者は強制履行(414条1項),債権が契約によるものである場合は契約の解除(541~543条),債務不履行による損害賠償請求(415条)を求めることができます。