保証債務
保証債務とは,主たる債務者が債務を履行しない場合に,保証人が主債務者に代わって履行する債務です。保証債務は,保証人の全ての財産や資力によって,主債務を担保するものと言えます。
保証債務は,債権者と保証人との間の契約により設定される,主債務とは別個の債務ですが,主債務を担保するという性質上,主債務に対して附従性・随伴性・補充性があります。
保証債務は,債務の成立や存続,消滅などが主債務に従う性質をもち(附従性),主債務より目的や態様が重いものは認められません。主債務者に対する債権が第三者に譲渡されると,保証人に対する債権も一緒に移ります(随伴性)。また,保証人は主債務者が債務を履行しない場合にはじめて保証債務を履行するものなので,債権者に対して,先に主債務者に請求してくれとか財産へ執行してくれとか抗弁する事ができます(補充性,催告の抗弁権・検索の抗弁権)。
ただ,保証債務の補充性は,債権の担保としての効力を弱めることになるので,実際は連帯保証が広く利用されています。連帯保証は,補充性がないため,催告・検索の抗弁権がありません(民法第454条)。そのため,例えば借金の契約書が公正証書にされていたような場合,債権者は主債務者の資力に拘わらず,ただちに連帯保証人に対して強制執行ができます。
また,連帯保証人が何人いても,債権者は連帯保証人の誰に対しても,主たる債務の全額を請求できるのです。
債権者からすれば,連帯保証は債権を担保する力がとても大きいと言え,保証人の立場からすると普通の保証より重い責任を負うことになります。
このような保証人の責任は,主債務者が破産した場合に特に顕在化します。
主債務者が破産して,免責決定をもらう場合,主債務者は破産手続きに参加している債権者に対して,破産手続き開始決定時に財産があればその財産の範囲内で,財産がなければ全く債権者に弁済する責任を免れることになります。
これに対し,保証人の責任には主債務者の破産手続きは何の影響もないので,債権者から保証債務の履行を求められた場合,保証債務を履行しなければなりません。
なお,平成17年の民法改正によって,保証契約は書面で締結しなければ,その効力を生じないことになりました(民法第446条2項)