息子が交通事故を起こしてしまい,警察に逮捕されてしまいました。家族としてどうしたらいいのでしょうか?
ご質問のように,警察に逮捕されるような事件の事を「刑事事件」と言います。弁護士が裁判手続きで取り扱う事件は,「民事事件」と「刑事事件」に大きく分けられますが,民事事件が私人同士の争いであるのに対し,刑事事件は「国家(警察・検察組織)」と「私人(被疑者・被告人)」との争いであるということが大きく異なります。
交通事故の場合,事故の被害者が加害者に対して損害賠償を請求していくのが民事事件で,警察が加害者を逮捕し,検察官が刑事裁判による処罰を求めていくのが刑事事件となります。
刑事事件では,加害者のことを起訴(検察官が裁判所に刑事裁判=公判を求めること)前の段階では被疑者,起訴後には被告人と呼びます。
刑事事件においては,警察や検察などの捜査機関は,強大な捜査権限(逮捕,勾留,捜索,差押など)を行使して犯罪を立証するための証拠を集めて裁判所に提出します。一方,被疑者として犯罪を犯したと疑われた人は,逮捕されて身柄を拘束されたり,住まいを捜索されたりします。
特に,逮捕・勾留されると,取り調べをされながら留置施設で生活しなければならなくなり,その精神的な負担は計り知れません。また,共犯事件や否認事件などでは接見禁止という家族や友人による面会禁止の処分がされることもあります。
このような逮捕による不利益をできるだけ減らすために,被疑者やそのご家族はいつでも弁護人を選任することができます。
依頼を受けた弁護士は,被疑者と面会して,被疑事件の状況について詳しくお話しをお聞きし,今後の対応や手続きの見通しなどについてアドバイスをします。
また,被害者と示談交渉をしたり,比較的軽微な事件であれば起訴がなされないような弁護活動をします。
起訴された後は,場合により裁判所に対し保釈を求めた活動をしていくと同時に,公判においては,被告人に有利な情状を主張するなど,執行猶予付の判決などのできるだけ寛大な処分を求めて活動していきます。
また,刑事事件では国選弁護制度もありますので,被疑者段階から国選弁護人が付けられる条件を充たすのであれば国選弁護人の選任を申請することができます。