私の父は私が生まれてすぐに亡くなっていますが、最近父方の祖父が亡くなりました。このような場合、私は祖父の相続が出来るのでしょうか?
質問:
私の父は、私が生まれてすぐに亡くなっていますが、最近父方の祖父が亡くなりました。このような場合、私は祖父の相続ができるのでしょうか?
回答:
相続することが可能です。
解説:
◯ 代襲相続
祖父、父、孫と続く三代の関係において、父が既に亡くなっていて、その後に祖父が死亡した場合には、孫は祖父の遺産を相続することができます。これを「代襲相続」といいます。
つまり、生きていれば相続人になったはずの親が先に死亡していても、その子は親に代わって相続権が認められるということになるのです。
代襲相続する人(遺産を相続する人、本質問でいうあなた)を「代襲者」、代襲相続される人(生きていれば相続人となっていた人、本質問でいうお父様)を「被代襲者」といいます。
◯ 代襲者となる人・被代襲者となる人
被代襲者となるのは、被相続人の子(直系尊属)または兄弟姉妹です。
そして、代襲者は、被代襲者の子であることが必要なので(民法897条2項、889条2項)、代襲相続により遺産を相続することができるのは、「被相続人の直系卑属(亡くなっ た人の孫、ひ孫など)」または「被相続人の傍系卑属(亡くなった人の甥、姪)」に限られます。
「被相続人の直系尊属(亡くなった人の祖母など)」や「配偶者」は代襲者となることができません。
◯ 代襲相続となるのはどんなとき
代襲相続が起きる典型例は、生きていれば相続人となる人(本質問でいうお父様)が「亡くなっていた」場合です。
また、相続人が亡くなっていたときだけでなく、相続人に相続欠格事由があったこと(相続に関する被相続人の遺言書を偽造・隠匿した場合など)や、相続人が推定相続人として廃除されていたこと(被相続人に対して虐待をしたために廃除された場合など)が原因で相続権を失っていたときにも起こります。
なお、相続人が相続放棄をした場合には、代襲相続は起こりません(本質問でいえば、お父様がご存命の場合に、お父様が相続放棄をし、相続をしなかったとしても、あなたがおじい様の遺産を代襲相続することはできません)。
◯ 養子の子は代襲相続できない可能性!
上記のとおり、代襲者となるためには、被代襲者の子(被相続人の孫、ひ孫、甥、姪)であることが必要です。そして、被代襲者の子が代襲者となるためには、被相続人の直系卑属でないといけません。
そのため、被代襲者が被相続人の養子である場合に、縁組「前」に生まれた被代襲者の子には、代襲者となることができません(本質問でいえば、あなたが生まれた後に、お父様とおじい様が養子縁組していた場合、あなたは代襲者となることができません)。
なぜなら、養子縁組の日から養子(被代襲者(お父様))と養親(被相続人(おじい様))との間で親族関係が生じるため、養子縁組「前」に養子に子(あなた)が生まれていた場合には、養親と養子の子との間には親族関係が生じておらず、養親であるおじい様にとって、養子の子であるあなたは、被相続人の直系卑属ではないからです。
もっとも、養子縁組「後」に養子に子が生まれた場合は、養親と養子の子との間には親族関係が生じますので、養親であるおじい様にとって、養子の子であるあなたは、被相続人の直系卑属にあたり、あなたは代襲者となります。